花束というメッセージ
町で花束を持った人を見かけると、
その人が景色から浮き上がる。
その人の奥に
さまざまな物語の一幕が見えてくる。
今日が誕生日で、友人が不意にくれた花束。二人はランチをしながら互いの近況を語る。
今日は聞き役のつもりだったのに、結局、二人はいつもの関係になる。
今日、会社を辞めた人。これからのことに希望や不安を巡らせていると、思考はいままで自分のしてきた仕事、出来なかったことを辿って、そして、失えない誰かにたどり着く。
今からお見舞いに行く人。
病院という非日常の場所へ向かう緊張感や見舞う人の未来を想う気持ち。
後悔や覚悟。励ましの言葉。無力感や未来が止めどなく溢れてる。
恋人へ贈る初めて買った花束。
持っている照れ臭さ。喜びの顔が浮かび、喜ばなかったらと不安がよぎる。
あの人、あの人、あの人・・・あの人との今までとこれからで、世界はいっぱい。
町で花束を持った人を見かけると、そこにはさくさんの自分が写る。
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