暮らすこと
今朝、住宅地を歩いているとき、
突然、浮浪者の男性に声をかけられた。
人気のない道で、大男で怖かった。
その人は「独りだから、細かいのでもいいから」と言った。
お金をくれということだった。
私は何かの判断もつかないまま、財布に入っていた小銭をすべて渡した。
複雑な思いのまま、その場を離れた。
その人は「ありがとう」と言って、何かを言いたいけど言えないままに、私を見送った。
その人から見たら年下の女に施しを頼む気持ちはつらいものだろう。それでも頼まなくてはならない状況だったのか?
この人はマイナンバーなど持たないのだろう。この人が社会に関わろうとしても、マイナンバーがないことで断られることがあるかもしれない。
マイナンバーは、冷たい制度に思えた。
でも、一方で、私はその人にあげたお金を稼ぐために努力してきた。私は回りの人より稼いでいるとは言えない人間だ。その小銭は大切なお金だった。
また人気のない道で、大男に壁に追い込まれるのは、小さな私にとって恐怖でもあった。
またこれから、近所に出かけるのも、少し怖い気持ちになってしまった。
それでも、あの「ありがとう」が、そのあと言葉にならなかった何かが、
この寒い日のあの人の何かを救ったのだと思わなければ、気持ちは落ち着かなかった。
今日は、阪神の震災があった1/17だ。
あの日、日常の中から突然、暮らしは奪われた。亡くなってしまった方、生き延びても命からがら逃げ出した方もたくさんいた。
関西には友人が多く、長い年月を非難所で過ごした子もいた。
生活するということ、
帰る場所があること、
想い想われる人がいること。
暮らせることは感謝するべきことだ。
生きることは恐ろしく、険しい。
それでも生きていく。
もうすぐ雪が降る。
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